オンライン輪読会を2回主催して、やめた取り組みのいくつか

本記事は、 DDD-Community-Jp Advent Calendar 2020の11日目です。

はじめに

皆さん輪読会は好きでしょうか。

私は好きです。

一人だとなかなか理解のできない本を、みんなで読んでいくマルチタスク感がとても素晴らしいです。

DDDCJでもDiscordをコミュニケーションツールとして、輪読会をオンラインで1年ちょっとやってきました。

その中で、やってみたこと、それでやめたことは幾つかあります。

必ずしもこのフォーマットが正解というわけではないですが、試行錯誤してやった結果、

いまのフォーマットに落ち着いてきたので(それは共同主催者である @t2-kob さんが詳しいことを書いてくれるはず)、何をやって、やらなくなったのかを書こうと思います。

なお、私が主催したオンライン輪読会は以下の2つです。

  • IDDD輪読会(2019/09〜2020/07)
  • DDD輪読会(2020/08〜)

いまのフォーマットに至るまでにやったこと、やめたこと

やったこと

  • グランドルール決め
  • 他人の意見、疑問に対して、:+1: をつけてもらうこと
  • チャットのコメントを拾い読みする役を作る
  • HackMDによる感想、気付き、疑問を書いてもらうこと
  • 輪読会の進め方についてのふりかえり
  • 輪読会の参加形式を、音声、チャットのみ、聴き専と選択できるようにしたこと
  • 会の始めに、音声もしくはチャットでの挨拶練習を導入したこと(コール&レスポンス)

やったけど、やめたこと

  • 本のサマリーや、本に対する疑問「のみ」を書いてもらうこと
  • コミュニティ内での告知
  • 自己紹介をしてもらう
  • miroなどによるリアルタイムホワイトボードツールで、付箋に感想、疑問を書いてもらう形式

やめたことの詳細

本のサマリーをあらかじめ書いておく

IDDD本の輪読会をやっているときにサマリー&疑問を書くことを、あらかじめやっていました。

これは以下の理由でやめることにしました。

  • サマリーをするのでも結構パワーを使う
  • サマリーする人が大体固定になる

サマリーをすることは撤廃し、代わりに本を読んだ「感想・気づき・疑問」をHackMDに書くようにしました。

疑問だけだと出しにくいという参加者でも、自身での経験と紐付けた感想、気付きは比較的出しやすいです。

他人の経験知から来る感想や気づきを共有するだけでも、他の人は学びになるだろうと考え、少しでも輪読会で取り上げるテーマを増やすことを目的としました。

コミュニティ内での告知

当初は、コミュニティ内でのイベント告知チャンネルをしていました。

意外と気づかれないことが多く、こちらもConnpassで外部向けに募集すること切り替えました。

輪読会は基本、続き物です。

最初の集まりが十数人くらいだと、あとは脱落していって参加者は先細っていくことが多いです。

なので、なるべく外向けに勉強会をやっているよとアピールする意味で、募集をちゃんと掛けることにしました。1

自己紹介の欄を設ける

最初はディスカッションをするということで、相手が誰かわからないと困るなと思い、サマリー用のHackMDに自己紹介の欄を設けました。

これはそもそもあまり書く人が居なかったというのと、ただ聴きにくる人だけ、という人がいたのであまり嬉しさは感じれず、数回くらいで止めるようにしました。

このあたりで、音声で議論したい人、チャットでコメントしたい人、聴くのみの参加者のカテゴリーがわかってきた感じがします。

miroなどによるリアルタイムホワイトボードツールで、付箋に感想、疑問を書いてもらう形式

一度、DDD輪読会を始める時にHackMDをやめて、miroで皆でリアルタイムに付箋を書いてみようと思い、試してみました。

これは面白そうだとは思いましたが、

  • miroを扱う事自体がHackMDよりハードルが高い
    • 慣れてない人はツールを覚えることに時間を掛けてしまう
  • 付箋だと長文が書きづらい
    • 本の引用などをしたいので長文を書きたい
  • みんなの見ている視線を合わせづらい
    • みんなが自由に広大なホワイトボードを行き来できてしまうので、「どこを話している?」となりやすい

と、結局HackMDに戻ることにしました。

オンライン輪読会で必要なことは?

1つめの輪読会をやっていて、こういうのが必要そうだと思ったものをいくつか挙げてみます。

当日の進行役は2人欲しい

タイムキーパー、ファシリテーション、コメントの拾い上げ役を一人でやる、というのがそもそも無理という話もあります。

ですが、それ以上に進行役がお互い話し相手がいるというのが、思った以上に心強いです。

特にオンラインならではの悩みですが、自分以外が音声で参加せずにチャットだけになると、心理的にかなり辛いです2

コメントで参加している人たちが多いとはいえ、一人で喋り続けるのはなかなかやりづらいものがあります。

そういう時に、2人でラジオみたいに会話しながら進行をしていくのは、話し相手からタイムリーに返答があるので、だいぶ進めやすくなると感じています。

いろんな人が参加できるような雰囲気作り

ディスカッションをより豊かにするのであれば、積極的に参加してくれる人たちが多く必要です。

活発な意見を出すためには、参加した人たちが意見を出すハードルを低くした方が良いと感じるので、

声を出しやすい、コメントをしやすい、といった空気を出すようにするのが大事だと思っています。

主催者側もあまり体力を使わない方式を選ぶ

主催者側が「辛い!」となると、どんなに良い場でも続かなくなります。

なるべく主催者側に負担が寄らないように、みんなの感想、気付き、疑問を集める形式にしたり、

書紀はその場で出来る参加者にやってもらうなどして、主催者側も負担を減らすようにした方が良いと感じました。

オンラインでの輪読会を円滑に進めるために、おそらくこういう役割が必要そう

いまのフォーマット

どんなのが必要かと考えたときに、現在ではこのような進行フォーマットで落ち着きました。

  • 読む範囲を定めておき、HackMDに感想、気付き、疑問を事前に書いて貰う方式

    • 読む範囲は大体20〜30ページに収めるようにする
    • 2週間で読み切れる量と、2時間の輪読会で取りあえげられるバランスを考え、大体このくらい
  • 告知はConnpassで実施する

    • コミュニティ外にいる人にも興味を持ってもらう
  • 主にファシリテートするのは二人

    • メインファシリテートとタイムキーパー
    • サブファシリテートと、Discordのチャットのコメントを読み上げる人
  • 当日は、HackMDに集まった感想や疑問の中から、自分も共感できる、同じことを思っていた、などに :+1: を付ける

    • :+1: が多いものから、優先的にディスカッションのテーマとして取り上げていく

参考スライド

今後の展望

  • このフォーマットが他でも出来るのか
    • 人が変わっても問題ないのか
    • 他に良いフォーマットもありそう
  • 新規参入者が入りやすい空気を保つためにはどうしたら良いのか
    • 長く続けていくと、身内感が出てきてしまう
    • 結局喋る人が固定化されてしまい、新規参入者が参加しにくい問題
    • 極力新規参入者のコメントや会話を拾うなりして、なるべく参加しやすい空気を作っていくのが今の所の策っぽい?
  • 外部への発信
    • オンラインイベントが当たり前になってきた今だと、Twitterなどのタイムラインに出てくることが減った、という意見もあります。
    • Discordでやっているのなら、そこでの会話とチャットですべてコミュニケーションが完結し、そこで発言すれば一緒に参加している誰かが返信してくれたりするので、あえてTwitterなどSNSで勉強会の内容を発信する必要性が減ってきているのが現状だと思われます
    • 今のところはConnpassやTwitterで地道に発信するしか無さそう…?

おわりに

輪読会を続けてきた中で、止めたことに焦点を合わせて紹介をしてみました。

結局のところ、「主催者側が無理をしないこと」と、「発言のハードルを下げる」ことが肝要ではないかと、現時点では思っております。


  1. あと単純に、人が減っていってサマリーする人が固定化し、隔週ごとにやる量が増えて負担が大きくなったのもあります

  2. Yotuberみたいなあの感覚に慣れていると問題無いのでしょうが、あのしーんとした感覚は相当胆力がいります。